憲法関連の書籍を選ぶ際、インターネット上のレビューやSNSの言説には強いバイアスがかかっているケースが少なくありません。特にX(旧Twitter)などでは、著者の政治的スタンスやメディア出演時の発言を切り取った批判が先行し、書籍本来の内容とは無関係な低評価レビュー爆撃(いわゆる組織的な炎上工作)が観測されることがあります。
報道各社の世論調査データを検証すると、国民の憲法に対する関心は「9条の改正是非」だけでなく、「緊急事態における権力統制のあり方」「デジタル社会におけるプライバシー権の保障」「参議院の合区問題と地方自治」など、極めて多岐にわたるテーマに分散しています。しかし、ネット空間では二項対立的なプロパガンダが強調されやすく、「この本は護憲派の偏向本だ」「あの著者は極右的なプロパガンダを書いている」といった極端なレッテル貼りが横行しているのが実態です。
法学研究者の間では、著者の思想的立場がどうあれ、議論の前提となる判例の引用が正確であるか、対立する学説を客観的に紹介しているかという学問的誠実さが評価基準となります。読者側も、ネット上の断片的な評判に惑わされず、複数の異なる立場から書かれたテキストを読み比べるリテラシーが不可欠です。