東京駅を訪れた多くの旅行者やビジネスパーソンが口を揃えるのが、「スマートフォンの地図アプリを開いているのに迷子になる」という現象です。ネット上やSNSでも「東京駅構内図グランスタ迷う理由」が頻繁に議論されていますが、これは利用者の方向感覚の問題ではなく、東京駅特有の三次元的かつ歴史的な建築構造に根本的な要因があります。
最大の罠は、「改札内と改札外の境界線が同一フロア内でシームレスに混在している点」です。例えば、丸の内地下エリアを歩いていると、壁一枚隔てた隣の通路に出るために改札機を通らなければならない構造になっており、視線は通るのに通り抜けられない「空間のトラップ」が随所に存在します。
さらに、1階と地下1階の連絡動線が東西で非対称である点も混乱に拍車をかけています。1階のメインストリートである「中央通路」から地下へ降りる階段やエスカレーターは多数ありますが、降りた先が「銀の鈴広場」寄りなのか「丸の内地下中央口」寄りなのかによって、視界に入る店舗群がまったく異なります。空間認知心理学の観点からも、人は「水平移動」よりも「階層移動」を挟んだ瞬間に現在地の方位感覚を約40%喪失しやすいとされており、東京駅の重層的なサインシステムがその混乱を増幅させているのが実情です。