2001年のトップスター就任時、宝塚界隈を大きく揺るがしたのが相手役の人事でした。抜擢されたのは、当時入団わずか3年目(研3)の映美くらら。通常、娘役トップスターにはある程度の上級生が就くケースが多いなか、異例とも言える超スピード抜擢劇でした。
当然ながら、舞台経験の浅い若手に対する周囲の視線は厳しく、映美自身が背負った重圧は計り知れないものがありました。そこで紫吹淳が見せた姿勢こそ、真のトップスターとしての度量でした。紫吹は手取り足取り、舞台上での歩き方、ドレスのさばき方、トップスターを美しく引き立てる娘役としての立ち位置に至るまで、妥協なき指導を施したと当時の関係者は述懐しています。
公の場やインタビューにおいて、紫吹は「くららは私の体の一部」と表現するほど全幅の信頼を寄せ、舞台上では徹底して彼女をエスコートしました。就任披露公演『大海賊/ジャズマニア』から、二人は学年差を感じさせない濃密なコンビネーションを確立。プレッシャーに押しつぶされそうになっていた若き映美を、紫吹の圧倒的な包容力が見事に開花させた瞬間でした。この二人三脚の歩みは、現在の宝塚でも語り継がれる「トップコンビ育成の理想形」のひとつに数えられています。