内場勝則を語る上で欠かせないのが、1999年から2019年3月まで丸20年間にわたり務め上げた「吉本新喜劇座長」の勇退劇です。辻本茂雄とともに同時勇退した際には、関西のエンタメ界に激震が走りました。一部では「劇団内部の不協和音」や「健康問題」を邪推する声も上がりましたが、実情は全く異なります。
勇退の直接的な契機となったのは、吉本新喜劇が迎えた「60周年」という大きな節目でした。内場自身、過去のインタビューや会見において、「自分たちが居座り続けることで、下の世代の芽を摘んでしまってはならない」という趣旨の危機感を繰り返し吐露していました。小籔千豊や川畑泰史、すっちーらが台頭し、酒井藍が史上最年少・女性初の座長に就任するなど、新世代の地盤が固まったタイミングを見極めての潔いバトンタッチだったのです。
もうひとつの理由は、表現者としての「個人活動の領域拡大」でした。座長職は毎週の台本直し、座員のキャスティング、稽古の統括など膨大な時間と重責を伴います。座長という重責から解放されることで、外部の演劇舞台やドラマ出演にリソースを割くことが可能となり、結果として60代以降の俳優・内場勝則の飛躍へと直結しました。