病期が進んで中等度以上の腎障害に達すると、変化は体温計や体重計だけでなく「外見」にも露骨に現れ始めます。臨床の現場で医師が瞬時に察知する腎臓が悪い人の顔つきには、明確な医学的根拠が存在します。
代表的な兆候は、顔面全体の腫れぼったさと「土気色(どきいろ)」とも表現されるくすんだ皮膚色です。腎機能が落ちると、赤血球の産生を促すホルモン「エリスロポエチン」の分泌が激減し、いわゆる「腎性貧血」に陥ります。通常の鉄欠乏性貧血とは異なり、体全体が青白さを通り越して浅黒く濁ったような顔色を帯びるのが特徴です。また、血管内の浸透圧を保つアルブミンが尿から大量に流出することで、むくみと腎臓病の関連が表面化します。朝起きたときに上まぶたがパンパンに腫れ上がり、夕方になると靴が入らないほど足首が膨らむ状態は、体液循環の破綻を示しています。
さらに患者を精神的にも苦しめるのが、腎臓が悪いと出る皮膚のかゆみです。このかゆみは一般的なアレルギーや乾燥肌とは根本的に異なり、保湿剤や抗ヒスタミン薬を塗布してもほとんど鎮まりません。体内から排出されるべき尿毒素や老廃物が血液中に滞留し、さらにはカルシウムやリンの代謝異常によって皮膚の真皮層に細かなリン酸カルシウム結晶が沈着することで、神経線維が内側から直接刺激されるためです。「入浴しても温まると余計に痒みが増し、夜も眠れずに皮膚をかき壊してしまう」という症状は、尿毒症が静かに忍び寄っているサインといえます。