本作を牽引したのは、若手実力派俳優陣が織りなす緊迫感に満ちたアンサンブルです。中心となる四角関係の構図は、思春期特有のエゴイズムと純粋さが交錯する見事なバランスで設計されています。
主人公・有馬隼人を演じた浮所飛貴は、普段の明るく知性的なキャラクターを完全に封印。どこか諦念を抱え、本心を容易には見せない男子高校生のアンニュイな佇まいを見事に体現しました。対するヒロイン・白石聖は、フラれてもなお前を向くタフさと、ふとした瞬間に零れ落ちる脆さを瞳の揺らぎだけで表現し、観客の感情移入を一手に引き受けました。
特に公開当時からSNS上で凄まじい反響を巻き起こしたのが、夕暮れの光の中で描かれた決定的なキスシーンです。当時の完成披露舞台挨拶や関係者インタビューにおいて、浮所は「いかに作為的に見せず、有馬の感情のオーバーフローとして表現するかを監督と何度もディスカッションした」と述懐しています。あざとい演出を極力排除し、息遣いや沈黙の間をあえて残した演出が、観る者に生々しい胸の高鳴りを与えました。
また、美 少年が歌う主題歌『虹の中で』は、物語のエンディングに鮮やかな余韻を添えています。切なさと爽快感が同居するメロディラインは、登場人物たちが過ごしたかけがえのない季節を祝福するかのように響き渡り、作品の叙情性を決定づけました。