弥栄(いやさか)で乾杯する意味とは?言わない理由と正しい作法を解説

弥栄(いやさか)で乾杯する意味とは?言わない理由と正しい作法を解説

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「弥栄」を語る上で欠かせないのが、日本の基層文化である神道との結びつきです。神社で行われる神事の締めくくりには、神前に供えた神酒(御神酒)を下ろし、参列者全員でいただく「直会(なおらい)」という神聖な儀礼が必ず執り行われます。 神道における直会は、単なる打ち上げ宴会ではありません。神霊が宿った供物を飲食することで神と人とが一体となり(神人共食)、その生命力を体内へと分かち合う厳粛な儀式です。この直会の席で発声される言葉こそが、まさに「弥栄(いやさか)」です。 神職が祝詞を奏上した後の乾杯儀礼において、「弥栄」と唱和される伝統は極めて正統な作法として受け継がれてきました。伊勢神宮をはじめとする全国の主要神社における奉納行事や、皇室に連なる由緒ある祝宴においても、弥栄の掛け声は清らかな繁栄を寿ぐ祝詞の一節として用いられています。 明治維新以降、欧米列強の外交儀礼を取り入れる過程で一般的な宴席には「乾杯」が急速に普及しましたが、伝統芸能や武道、神職関係者のコミュニティでは、純粋な大和言葉としての「いやさか」が決して途絶えることなく継承されてきました。格式ある祝宴でこの言葉が選ばれるのは、付け焼き刃の流行ではなく、千年以上続く日本の正統な祭祀文化に立脚しているからに他なりません。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。