「から紅に水くくるとは」――。このわずか11文字のフレーズには、最高峰の染色美を切り取った情景描写の妙と、巨大な権力構造によって引き裂かれた男の生涯消えない愛の痛罵が、奇跡的なバランスで同居しています。
大自然の紅葉を、あえて「神代も聞かず」「から紅の絞り染め」という人工の極みへと昇華させた在原業平。彼が選んだのは、暴力的な抗争でも自己憐憫でもなく、三十一文字の言葉の中に自らの情熱を永遠に封印し、歴史へと撃ち放つことでした。
言葉の成り立ちと歴史の文脈を深く掘り下げることで、遠い平安時代の古典は、現代を生きる私たちの心を激しく揺さぶる生のドキュメントへと変わります。竜田川の紅葉を目にするとき、あるいは百人一首の札を手にとるとき、ぜひその鮮烈な赤の奥に潜む、一人の男の気高い魂の叫びに耳を澄ませてみてください。 (出典: から くれ ない に みず くくる と は(Yahoo!ニュース))
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