Q1:なぜ一様な円板の係数は「1/2」で、中実球の係数は「2/5」になるのですか?
A1:回転軸からの質量の集中度合いの違いによるものです。円板は中心から外縁まで均一に質量が広がっていますが、球を回転軸まわりにスライスして考えると、軸から最も遠い赤道付近よりも、極に近い部分の方が断面積が小さくなり、全体として軸の近くに質量が集まる傾向があります。軸の近くに質量が集まるほど慣性モーメントは小さくなるため、円板の $0.5$ に対し、球は $0.4$($\frac{2}{5}$)と小さくなります。
Q2:3次元空間における「慣性テンソル」と通常の慣性モーメントの違いは何ですか?
A2:対称性の高い物体を固定軸まわりに回転させる場合はスカラー量(1つの数値)としての慣性モーメントで記述できます。しかし、非対称な形状の物体が3次元空間を自由に回転する場合、角速度ベクトルの向きと角運動量ベクトルの向きが一致しなくなります。このずれを厳密に表現するために、$3 \times 3$ の行列として定義された物理量が「慣性テンソル」です。
Q3:実務のモータ選定で「イナーシャ比」を小さく抑えなければならないのはなぜですか?
A3:モータ自身の回転子の慣性モーメントに対して負荷側の慣性モーメントが大きすぎると、サーボ制御系が指示した通りの加速・減速に実機が追従できなくなるためです。一般に負荷イナーシャ比が5〜10倍を超えると制御の応答性が著しく悪化し、位置決め停止時のオーバーシュートや激しいハンチング(振動現象)の原因となります。