ネット上の掲示板やSNSでは、時に極端な言説が独り歩きし、初学者を混乱させます。現場の指導データから見えてくる、受験生が陥りがちな2大誤解を是正しておきます。
第1の誤解は、「富井の古典文法を完璧にマスターすれば、古文長文がスラスラ読めるようになる」という幻想です。古文読解は「文法力」「古文単語力」「古文常識・背景知識」という3つの柱が噛み合って初めて成立します。いくら助動詞の識別が完璧であっても、基本単語(300〜400語程度)の意味が抜け落ちていては文章の内容は一切掴めません。文法の学習と完全に並行して、『古文単語ゴロゴ』や『新・マドンナ古文単語』などの重要単語帳を1日15〜30分ずつ進めることが絶対の前提条件です。
第2の誤解は、「分かりやすい解説書だから、1周サラッと通読すれば十分」という油断です。同書は語り口が非常に平易で読みやすいため、読者は「分かった気」になりやすい心理的バイアスを抱えます。しかし、認知心理学の研究が示す通り、「理解の容易さ」と「記憶の長期定着」は比例しません。易しく書かれているからこそ、油断せずに別冊の暗記テストを自分に課し、アウトプットによって負荷をかけなければ、数週間後には大半の知識が揮発してしまいます。