下処理が完了したら、いよいよフライパンでの加熱工程です。ここで多くの人が迷うのが「フライパンに油を引くべきか」そして「蒸し焼きのために蓋をするべきか」という疑問です。現場の調理検証から導き出された結論は明白です。
まず、「フライパンに油は一切不要(油なし)」です。ハラス自体から数秒で潤沢な脂が滲み出るため、サラダ油などを引くと単に油分過多を助長するだけに終わります。そしてもう1つの命題、「蓋をするか否か」の答えは「絶対に蓋をしない」が正解です。蓋をしてしまうと、魚から蒸発した水分が蓋の内側で水滴となり、皮の上に降り注ぎます。これにより皮がふやけ、香ばしいクリスピー感が完全に破壊されてしまうからです。
失敗しない焼き時間と火加減の具体的なタイムラインは以下の通りです。
- 冷たいフライパンに皮目を下にして並べる(コールドスタート):急激な強火は身を縮ませて反り返りの原因になります。皮を下にして並べ、弱めの中火で点火します。フライパンに押し付けるようにフライ返しで軽く30秒ほど押さえると、皮全体が均一に底面に密着します。
- 皮目をじっくり焼き付ける(焼き時間目安:4〜5分):パチパチという音とともにハラス自身の脂が大量に出てきます。火加減は「弱めの中火」を保ちます。この間にフライパンを傾け、溜まった脂をキッチンペーパーで2〜3回吸い取ります。皮の縁がキツネ色になり、身の下から半分程度が白っぽく火が通ってくるまで動かさずにじっくり焼き上げます。
- 裏返して身の側面を焼く(焼き時間目安:2〜3分):トングや菜箸で優しく裏返します。ハラスは長細い断面(三角形に近い形状)をしていることが多いため、身の広い面を下にして弱火で2分ほど焼きます。
- 残りの面を仕上げる(焼き時間目安:1〜2分):さらに転がして反対側の身の面を1分ほど軽く焼きます。身は火が通りやすいため、長時間の加熱はパサつきの元です。全体に熱が回ったらすぐに火を止めます。
合計の焼き時間目安はトータルで7〜9分程度です。余熱でも火が通るため、身の中央がほんのりピンク色のしっとり感を保った状態で引き上げるのが、ジューシーさを損なわないプロの焼き上がり基準です。