ネット上の情報や社内の噂話には、時短勤務にまつわる危険な誤解が少なくありません。実務上の致命的なトラブルを防ぐため、制度の正確な輪郭を整理しておきます。
誤解1:時短勤務中も「育児休業給付金」のような公的補填が出る?
「時短で給与が下がっても、国から差額が補填される」という認識は、現行制度において完全な誤認です。育児休業給付金はあくまで「育児休業を取得して仕事を完全に休んでいる期間」を対象とした給付であり、時短勤務として復職した当月からは支給が停止します。
ただし、後述する2026年最新法改正の一環として、子どもが2歳未満の時期に時短勤務を選択した労働者に対して賃金の一部を助成する「育児時短就労給付」の新設が法制化されました。過去の制度と最新の給付ルールが混同されやすいため、自身の受給対象期間を正確に見極める必要があります。
誤解2:給与が激減すると将来もらえる厚生年金も激減する?
額面給与が下がれば社会保険料の等級が下がり、将来受け取る老齢厚生年金額が目減りしてしまうのではないかという恐怖は、多くの親が直面する疑問です。通常、産休・育休中は厚生年金保険料免除の対象となりますが、復職後は時短勤務で減額された給与に応じた保険料を支払うことになります。
年金受給額の低下を防ぐために国が用意している決定的な制度が、日本年金機構が管轄する「養育期間標準報酬月額特例(厚生年金保険法第26条)」です。子どもが3歳になるまでの間、勤務時間が短縮されて給料が下がっても、年金事務所へ届出を行うことで「子どもが生まれる前の高い標準報酬月額」で将来の年金額が計算される特例措置が適用されます。会社経由での申請手続きを怠ると適用されないため、復職直後の手続き漏れがないか必ず自己防衛を図らなければなりません。