一口に脂質異常症といっても、その病態は単一ではありません。日本動脈硬化学会ガイドラインが定める基準において、食事改善の方針は以下の3つの異常タイプに応じて完全に分かれます。
- 高LDLコレステロール血症(140mg/dL以上):動脈硬化の最大リスク。最優先課題は飽和脂肪酸(脂身肉、乳脂肪、パーム油)とトランス脂肪酸の徹底排除、および食物繊維の摂取です。
- 高トリグリセライド血症(中性脂肪150mg/dL以上):血液がドロドロになり急性膵炎や小型LDLの発生を招く状態。最優先課題はアルコールの節制、菓子や清涼飲料水などの単糖類カット、主食の適正量化です。
- 低HDLコレステロール血症(40mg/dL未満):血管壁に溜まった余分なコレステロールを回収する「掃除屋」が不足している状態。有酸素運動の実践と禁煙が軸となり、過度な脂質制限を解いて魚油やオリーブ油などの良質な油を適量摂ることが求められます。
このように、中性脂肪が高い人とLDLコレステロールが高い人では、制限すべき対象が根本的に異なります。自分の血液検査データがどのパラメーターで引っかかっているのかを正しく把握しないまま行う食事療法は、暗闇で的を射ようとする行為に等しいと言わざるを得ません。