久米宏ニュースステーション降板の真実|最終回スピーチと伝説の軌跡

久米宏ニュースステーション降板の真実|最終回スピーチと伝説の軌跡

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久米氏の降板に伴い、バトンを受け取ったのが古舘伊知郎氏でした。報道ステーション 古舘伊知郎 交代の経緯は、テレビ朝日上層部にとって局の社運を賭けた大博打でした。「久米宏の後任など誰がやっても火中の栗を拾うだけ」と業界内で囁かれる中、白羽の矢が立ったのが、プロレス実況やバラエティで唯一無二の話術を確立し、トークライブ『トーキングブルース』で卓越した構成力を示していた古舘氏でした。

2004年4月にスタートした『報道ステーション』は、当初こそ久米スタイルとの比較に苦しめられたものの、古舘氏特有の比喩表現や現場リポートを武器に、12年間にわたる長期政権を築き上げます。しかし、この交代劇は同時に、テレビ報道における「個人の批評性」が徐々に後退していく転換点でもありました。

制作の主導権が完全にテレビ朝日報道局へと移行したことで、番組の作りはより組織的・コンプライアンス重視のものへとシフトしました。久米氏が見せていたような、プロデューサーとキャスターが阿吽の呼吸で生放送中に演出を変え、自らの言葉で体制を揶揄するようなスリリングな冒険は、放送法の厳格な解釈やネット炎上のリスクによって封殺されていきました。古舘氏が番組を去る際に口にした苦悩もまた、肥大化した組織ジャーナリズムと個人の表現欲求との間で引き裂かれた結果だったと言えます。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。