「まさか自分が騙されるとは思っていなかった」――。独立行政法人国民生活センター(PIO-NET)に寄せられる訪問販売によるリフォーム工事の相談件数は、年間6,000件から8,000件超の高水準で推移し続けています。ネットの口コミやSNSを分析すると、外壁塗装を経験した施主の実に多くが「何かしらの後悔や不信感」を抱いている実態が浮かび上がってきます。
施主が後悔に苛まれる典型例は、主に2つのパターンに集約されます。
第1のパターンは「見積もりが相場より異常に高すぎる」という金銭トラブルです。大手ハウスメーカーや訪問販売業者に依頼した場合、実際の工事を行うのは下請けや孫請けの職人であることが大半です。その結果、元請け企業の広告宣伝費や営業歩合(マージン)として30〜40%もの中間マージンが工事代金に上乗せされ、適正相場なら100万円で済む工事が160万〜180万円に跳ね上がります。契約後にネットで相場を調べて愕然とするケースが後を絶ちません。
第2のパターンは、引き渡しからわずか1〜3年で発生する「塗膜の浮き・剥がれ」です。「大手だから安心」「10年保証を謳っていたから信頼した」はずが、施工不良により壁一面の塗料がめくれてしまう現象です。塗装業界の関係者は、取材に対して次のように現場の裏側を打ち明けます。
「外壁塗装の耐久性を決めるのは、上塗りする高価な塗料そのものよりも、目に見えなくなる『高圧洗浄』『下地補修』『下塗り』の丁寧さです。下請け職人が元請けから極端に安い人工(にんく:手間賃)で叩かれると、規定の乾燥時間を待たずに中塗りを重ねたり、高圧洗浄の半乾き状態で下塗りを強行したりせざるを得なくなります。塗料メーカーが指定する希釈率を無視して水やシンナーで薄める悪質なケースすらあります。その結果、塗膜が密着せず、数年でパリパリと剥がれ落ちてしまうのです」
仕上がり直後はどんな手抜き工事であってもピカピカに見えるため、一般の施主が施工不良を見抜くことは極めて困難です。この「外見と実態のタイムラグ」こそが、外壁塗装で後悔する人が後を絶たない最大のカラクリといえます。