生理が遅れている渦中にある女性たちのコミュニティ(SNSや知恵袋、女性特有の健康相談掲示板)を精査すると、判で押したように共通する「精神的ループ」が浮き彫りになります。
多くの女性が吐露するのが、「吐き気や眠気、下腹部のチクチクした痛みなど、明らかに普段と違う妊娠初期症状のような感覚があるのに、何度検査しても陰性しか出ない」という苦悩です。医学的にこの現象は2つの側面から説明できます。
1つは、妊娠初期症状と月経前症候群(PMS)の症状を引き起こす主原因が、いずれも排卵後に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)であるという点です。体温を上げ、水分を溜め込み、腸の動きを鈍らせ、眠気を誘発するプロゲステロンの作用は、妊娠していても、生理直前の黄体期であっても全く同じように現れます。「妊娠したに違いない」という強い直感が、実際には単なる長引くPMSであるケースは臨床上非常に多く見られます。
もう1つ見逃せないのが、着床出血と生理の違いに対する混乱です。ネット上では「生理予定日付近に少量の血が出たが陰性だった。これは着床出血なのか」という相談が絶えません。
受精卵が内膜に潜り込む際に起こる着床出血は、全妊婦の約15〜25%程度にしか起こらない比較的稀な現象です。出血量は下着にうっすら付着する程度、色は薄いピンク色や茶褐色で、1〜2日程度で消失します。一方、通常の生理は鮮血であり、2〜3日目にかけて経血量が増加し、凝固したレバー状の塊が混じることもあります。微量の不正出血を見ただけで着床出血と断定し、陰性結果との矛盾に悩むケースが多発しているのが実情です。