実務担当者が最も強く認識を改めるべき領域が、瑕疵担保責任からの改正内容です。債権法改正前の民法では、隠れた欠陥に対して「修補請求」や「損害賠償請求」を認める構造でしたが、現行法では「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」状態全般を射程に収める契約不適合責任と民法改正の体系へと一本化されました。
この改正によって発注者側に与えられた救済手段は、従来の責任追及から大幅に拡張されています。
第一に「追完請求権(目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)」、第二に追完に応じない場合の「代金減額請求権」、そして第三に「契約解除」と「損害賠償請求」です。過去の法解釈では争いのあった代金減額請求が明文化されたことで、発注者は未完成部分や品質不足を理由に、支払額の減額を法的に迫ることが容易になりました。
ただし、請負人を過度に縛り付けないための防衛策も存在します。発注者が契約不適合を理由に責任追及を行う場合、不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しなければ権利が失権します(民法第637条)。さらに、発注者が自ら提供した指示や材料によって不適合が生じた場合には、請負人の責任は免責されます。双方が提示した「要件定義書」「仕様書」が契約内容そのものとなるため、曖昧な指示のまま受託する行為は、請負人にとって致命傷になりかねません。