なぜすべての軽トラックの最大積載量は350kgに固定されているのか。これはメーカーの設計限界ではなく、国土交通省が定める道路運送車両法の保安基準に基づく制度上の上限値です。
1949年に誕生した軽自動車規格は、戦後の復興期を経て1960年代以降に四輪モデルが市場へ本格普及しました。車体サイズや排気量(現在は全長3.40m以下、全幅1.48m以下、全高2.00m以下、総排気量660cc以下)が厳密に規定されるなかで、軽貨物自動車(4ナンバー)のブレーキ性能、操縦安定性、タイヤの耐荷重指数を総合的に勘案し、安全に走行できる上限値として設定されたのが350kgという数値でした。
ここで一般ドライバーが見落としがちなのが、「乗員の体重は350kgに含まれるのか」という疑問です。法令上、最大積載量とは荷台に積む荷物単体の重量を指します。乗車定員(2名)の体重は「車両総重量(車両重量+乗車定員×55kg+最大積載量)」の別項目として計算されているため、体重80kgの大人が2名乗車していても、荷台には規定通り350kgまでの荷物を積載可能です。
現在新車販売されている軽トラックの荷台寸法は、規格の上限いっぱいに作られており、ダイハツのハイゼットトラックもスズキのキャリイトラックもほぼ同等のスペースを確保しています。
- 荷台フロア長:約2,030mm(ガードフレームからリアアオリまで)
- 荷台幅:約1,410mm
- アオリ高:約290mm
この荷台フロアは畳(江戸間)なら2枚、標準的なリンゴ箱なら約48個をフラットに平積みできる計算になります。しかし、体積的には余裕があっても、比重の重い素材を積み込むと、荷台の深さの半分にも満たない量で350kgに達してしまう点が軽トラックの最大の罠といえます。