木村拓哉というアイコンが日本中を席巻し始めた初期、まず注目されたのが『あすなろ白書』(1993年)で見せた黒髪のナチュラルなセンター分けショートでした。飾らない少年のような爽やかさと、メガネ越しの切ない表情が絶大な支持を集め、若者の間で前髪をセンターパートにするスタイルが一気に定着します。
そして1990年代中盤、彼の代名詞となったのが伝説のロン毛(ロングヘア)時代です。当時の男性アイドルや俳優の常識を覆し、肩まで伸びたストレートやナチュラルウェーブをさらりとこなす姿は、男性の美意識を根底から変革しました。
その頂点となったのが、社会現象を巻き起こしたドラマ『ロングバケーション』(1996年)の瀬名秀俊役です。肩にかかるレングスに、ニュアンス感のあるゆるやかなウェーブを施したスタイルは、どこかアンニュイで知的なピアニストのキャラクターと完璧にシンクロ。当時、全国の美容室で「ロンバケの瀬名ヘアにしてください」というリクエストが殺到しました。