彼のキャリアを振り返れば、その表現力の変遷は一目瞭然だ。かつて国民的ヒット作となった『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命』で見せた、使命感に燃えるクールな医師役。そこから世界的なヒットを記録した『今際の国のアリス』での強烈な存在感、そして国際共同制作ドラマ『神の雫/Drops of God』で見せた繊細で美しき演技の深み。
正統派のヒーローから、人間性の深淵を覗き込むような複雑な役柄まで、山下は着実に表現の幅を広げてきた。王道のヒット作で培った圧倒的な説得力があるからこそ、今回の「ベンチと豚」というシュールで不穏な世界観の中でも、一瞬にして観客を作品の深部へと引きずり込むことができるのだ。