作品「無題2004」を手掛けた加藤泉氏は、木彫や石彫、ソフトビニールなど多様な素材を用いて、どこか原始的で生々しい生命体を表現する日本を代表する彫刻家だ。国内外の美術館で高い評価を受ける彼の作品群において、「無題2004」もまた、人間の内面や生命の根源的な不気味さを想起させる静謐な芸術表現として生み出された。
アートとして制作された造形が、なぜネット上で凶暴な怪異へと解釈されたのか。そこには言葉を超えた視覚的インパクトがあった。顔に塗られた塗料、左右非対称の目、そして硬質なコンクリートと鉄筋を思わせる無機質な存在感。写真が一枚提示されただけで、閲覧者の頭の中に「これが部屋の隅に立っていたら」という恐怖の妄想が膨れ上がったのだ。偶然のいたずらが、純粋な現代アートを怪談の主役に仕立て上げた瞬間だった。