言語史の観点からにほん にっぽん 語源と由来を探ると、意外な事実が判明します。実は、歴史的に先に誕生したのは「にほん」ではなく「にっぽん」でした。
飛鳥時代後半から奈良時代にかけて、それまでの「倭(やまと)」に代わり、中国(唐)に対して「日の出づる国」を意味する「日本」という漢字表記が使われ始めました。当時の読み方は訓読みの「ひのもと」でしたが、やがて漢字の音読みに移行します。
奈良・平安初期の日本語において、「日」は呉音で「ニチ」、「本」は「ホン」と読まれていました。これが連声(れんじょう)および促音化を起こし、「ニチ・ホン」→「ニッポン(Nippon)」へと変化したのが発音の起源とされています。当時の「ハ行」の子音は、現代の「h」音ではなく「p」または「f」に近い音(両唇摩擦音)で発音されていたため、自然と破裂音の「にっぽん」が定着しました。
室町時代から江戸時代にかけて、日本語の発音全体が柔らかく変化(唇音退化)する中で、「p」音から「h」音へと移行し、「にほん(Nihon)」という発音が派生しました。江戸の町民文化では発音しやすい「にほん」が急速に普及し、日常語としての地位を確立していったという国号の呼び方 歴史的経緯が存在します。