アルバムのジャケット写真は、宇多田ヒカルという表現者の精神状態をそのまま映し出す鏡だ。2018年のアルバム『初恋』で見せた、憂いを帯びた瞳のクローズアップ。そこには一切の虚飾がなく、悲しみを受け入れた人間の生々しい強さがあった。
その流れは2026年の『BADモード』でさらに深化した。ロンドンの自宅のリビングで撮影されたとされるアートワークでは、部屋の隅でラフな部屋着をまとい、無防備に佇む姿が収められている。完璧に作り込まれた偶像ではなく、生活の匂いや疲労感さえも隠さないアプローチ。自らの弱さや日常をさらけ出すことこそが、彼女にとっての究極の「裸(ヌード)」であり、聴き手との嘘のない対話を生む装置となっている。