アニメーションにおいて鱗滝左近次というキャラクターに決定的な説得力を与えたのが、名優・大塚芳忠による名演だ。抑制の効いた低音ボイスでありながら、静かな威圧感と枯淡の味わい、そして時折滲み出る慈父の優しさを絶妙なバランスで表現しきった。
アニメーション制作を手がけたufotableの圧倒的な映像美と、企画を統括するアニプレックスの情熱が融合したことで、狭霧山の濃密な空気感や水の呼吸の初撃シーンは伝説的なクオリティへと到達した。天狗の仮面によって表情が見えない鱗滝だが、大塚芳忠の細やかな息遣いと声の震えによって、仮面の奥にある無念と愛情が雄弁に語られている。