名門・東芝がこれほど大胆な事業売却を断行せざるを得なかった背景には、企業の存亡を揺るがした深刻な経営危機が存在します。発端となったのは、2015年に発覚した不正会計問題と、アメリカの原子力発電子会社ウェスチングハウス(WH)を巡る巨額の減損損失でした。数千億円から兆単位に及ぶ巨額損失を抱え、東芝は東京証券取引所における上場廃止の危機、すなわち債務超過の解消というタイムリミットに追い詰められたのです。
そこで浮上したのが東芝 白物家電 買収理由に直結する資産売却の決断でした。2016年6月、東芝は冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・炊飯器などを手がける子会社「東芝ライフスタイル」の株式の80.1%を、中国の白物家電最大手である美的集団(マイディア・グループ)へ約537億円で譲渡しました。当時、売却会見に臨んだ経営陣が「苦渋の決断であり、ブランドと雇用の維持を最優先した」と語った通り、東芝ブランドの商標を40年間にわたってグローバルで使用できるライセンス契約を結ぶ形での救済的売却でした。
さらに再建の波は映像事業にも及びます。高画質映像処理エンジンで熱狂的なファンを獲得していた薄型テレビ「REGZA」を展開する東芝映像ソリューション(現TVS REGZA)もまた、2018年2月に中国の家電・エレクトロニクス大手ハイセンス(海信集団)へ約129億円で株式の95%が譲渡されました。この結果、REGZA 中国企業 傘下という新たな事業構造が定着し、かつて「技術の東芝」を象徴したコンシューマー製品は、相次いで中国大手の手へと委ねられることになったのです。