観察中に最も多くの飼育者がパニックに陥るのが、「さなぎが全く動かなくなった」「全体が黒ずんできた」という異変です。しかし、これらは死亡したのではなく、正常な生体反応であることがほとんどです。
そもそもカブトムシのさなぎが動かない理由は、無駄なエネルギー消費を抑え、体内で羽や角を形成する超繊細なプロセスに集中しているためです。刺激を与えればお尻を左右に振ることもありますが、普段は静止しているのが自然な姿です。特に羽化の2〜3日前になると、殻の中で足や羽の分離が完了し、脱皮の準備のために動きがピタリと止まります。
では、羽化直前の正常な黒化と、命を落としてしまった状態はどう見分ければよいのでしょうか。カブトムシのさなぎが黒いときの死亡との見分け方は、以下のポイントで明確に判断できます。
【羽化直前のサイン(生存)】
薄い皮の下に、完成した黒い複眼、くっきりとした足、大顎や角が透けて見えます。体積はふっくらと張りを保っており、光沢のある黒褐色や飴色に見えるのが特徴です。嫌な臭いは一切しません。
【死亡しているサイン(壊死・腐敗)】
羽化直前の艶やかな黒さとは異なり、艶のないマットな黒・濁った焦げ茶色に変色します。体全体が萎縮して縮んでいる、触れなくても異臭(腐敗臭・酸っぱい臭い)が立ち込める、体液が滲み出てブヨブヨになっている場合は、残念ながら途中で力尽きてしまった状態です。