「病院で処方された薬を真面目に塗っているのに、一向に治らない」「治ったと思ったら別の場所が禿げてきた」と頭を抱える飼い主は後を絶ちません。猫カビ治らない理由と対策を突き詰めていくと、治療のボトルネックは薬の効き目ではなく「室内環境に脱落した感染胞子による自家再感染」にあります。
皮膚糸状菌の胞子(分生子)は極めて強靭な生命力を持っており、猫のフケや抜け毛に付着した状態で、乾燥した室内環境下でも12ヶ月から最長18ヶ月以上も生存・感染力を維持します。愛猫の体をどれほど入念に治療しても、部屋のカーペット、カーテン、キャットタワー、ケージの隅に胞子が残っていれば、体を擦り付けた瞬間に再感染が成立してしまいます。
さらに深刻なのが、猫カビ消毒にエタノールが効かない真相です。新型コロナウイルス対策などで普及した70〜80%濃度の消毒用アルコール(エタノール)は、細菌やエンベロープ型ウイルスには有効ですが、真菌の胞子が持つ分厚いキチン質・グルカンからなる強固な細胞壁を破壊することができません。アルコールをいくら部屋中に噴霧しても、カビの胞子は死滅せず、そのまま生き残ります。
環境中の胞子を確実に無力化するためには、以下の物理的・化学的アプローチへの完全な切り替えが不可欠です。
- 次亜塩素酸ナトリウム希釈液(有効塩素濃度0.1% / 約1000ppm):家庭用塩素系漂白剤(ハイター等)を適切に薄め、拭き掃除に使用(金属腐食や色落ち、猫の吸入毒性に十分注意し、施工後は水拭きで仕上げる)。
- 熱湯消毒(80℃以上で10分以上):猫が使用したタオル、ブランケット、ブラシ類は熱湯に浸漬処理することで胞子を熱変性させて死滅させる。
- 高機能HEPAフィルター掃除機:抜け毛とフケを物理的に吸引・除去する。排気から胞子を再飛散させない密閉性の高い掃除機を使用し、紙パックは密閉して破棄する。