常温で溶けないアイスの仕組みとは?葛バーや金沢発の真相を徹底解明

常温で溶けないアイスの仕組みとは?葛バーや金沢発の真相を徹底解明

常温で溶けないアイスの仕組みとは?葛バーや金沢発の真相を徹底解明の詳細について、最新情報を詳しくお届けします。

アイスクリームが常温で崩れ落ちる最大の理由は、温度上昇によって氷の結晶が水へと戻り、同時に油脂分と空気を支えていたエマルション(乳化状態)が破壊されるためです。現在流通している溶けないアイスは、物理的アプローチまたは生化学的アプローチによってこの構造崩壊を食い止めています。

科学界に衝撃を与えたのが、金沢大学名誉教授らとバイオセラピー開発研究センターが共同開発した特許技術です。東日本大震災の復興支援を契機に、形の崩れたイチゴの有効活用を研究する過程で偶然発見された「イチゴポリフェノール」が核となっています。このポリフェノール抽出物は水と油を強固に架橋(結びつける)する性質を持ち、アイスのベースに添加することで油脂の膜が水分を抱え込みます。その結果、40℃近い温風を当てても水分が分離して垂れ落ちず、元の形状を維持できるのです。

もうひとつの主流が、日本の伝統素材を用いた「葛アイスバー(葛バー)」です。葛粉やアガー(海藻由来の凝固剤)に含まれる植物性多糖類は、加熱して冷やすと分子同士が強固な立体網目構造(ハイドロゲル構造)を形成します。冷凍状態ではシャリッとした氷の食感を楽しめ、常温で氷が解凍されてもゼリー状のゲル層が水分を逃さず抱え込むため、液だれが一切起きません。科学技術と伝統製法という異なる出自を持ちながら、いずれも水分を閉じ込める分子レベルの工夫によって成立しています。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。