かつて東京都中野区新井に構えられていた貴乃花部屋の敷地は、本場所前になると大勢の後援者や見学者で賑わい、中野駅周辺の商店街にとっても地域のシンボル的な存在でした。
しかし部屋の解散後、敷地と建物は売却されました。頑丈な鉄筋構造の旧宿舎や稽古場は解体工事が行われ、現在は近代的な集合住宅(マンション)へと完全に姿を変えています。現地の周辺には相撲部屋が存在していたことを示す記念碑などは設置されておらず、当時の面影を直接確認することはできません。
近隣住民や地元商店街の関係者への取材によると、「朝稽古の激しいぶつかり合いの音や、力士たちが自転車で行き交う光景が日常だったため、解体された当初は大きな喪失感があった」という声が聞かれます。街の風景から相撲部屋の気配は消え去ったものの、地域に根づいていた熱気と記憶は地元の人々の間で今も語り継がれています。