なぜカフェインを摂取すると生理痛が悪化すると指摘されるのか。その主因は、子宮内膜が剥離する際に分泌される発痛物質「プロスタグランジン」の作用と、カフェインが引き起こす末梢循環の変化にあります。月経期に入ると、経血を体外へ押し出すためにプロスタグランジンが分泌され、子宮の平滑筋を収縮させます。この分泌量が過剰になると、子宮周囲の血管が強く圧迫され、激しい下腹部痛や腰痛が生じる仕組みです。
ここにカフェインが加わることで、痛みの連鎖が加速します。代謝内分泌内科クリニックの医師や薬剤師の臨床解説によると、カフェインは中枢神経を覚醒させる過程でアデノシン受容体を遮断し、一時的な血管収縮を招きます。血管が収縮すると骨盤周囲を含む末梢組織への血流が低下し、いわゆる「内臓の冷え」が進行。局所の血行不良によってプロスタグランジンが骨盤内に滞留しやすくなり、結果として痙攣性の痛みが一段と増幅されるのです。
さらに見過ごせないのが自律神経への刺激です。カフェインは交感神経を刺激して副腎皮質ホルモン(アドレナリンやコルチゾール)の分泌を促すため、心身が過度な緊張状態に置かれます。月経期は本来、副交感神経を優位にして血流を保ち、身体を休めるべき期間です。この時期に強引な覚醒刺激を与える行為が、自律神経の乱れと身体の冷えを招き、生理痛を悪化させる大きな要因となっています。