栄養学的には大きな差がない上白糖と三温糖ですが、調理科学の視点に立つと、その個性の違いは料理の完成度を劇的に左右します。
上白糖は、製造の最終工程で「ビスコ(転化糖液)」を少量吹きかけて作られます。そのため結晶の表面にしっとりとした水分を帯びており、舌に乗せた瞬間に素早く溶けて強い甘みを感じさせます。どんな調味料とも馴染みやすく、色がつかないため素材の色彩を損ないません。
対照的に三温糖の真価は、加熱によって凝縮された特有の香ばしさと奥深いコクにあります。この個性を最大限に生かせるのが和食の煮物料理です。
魚の煮付けやブリ大根、豚の角煮、筑前煮などに三温糖を使うと、カラメル成分が醤油やみりんと結びつき、料理全体に深いコクと照りをもたらします。肉や魚特有の生臭さをマスキングする効果も高く、長時間の煮込み料理には三温糖が絶大な威力を発揮します。
一方で、白砂糖と三温糖の代用を行う際には押さえておくべきルールが存在します。
【上白糖を三温糖で代用する場合】:
重量比は「1:1」の同量で問題ありません。ただし、三温糖自体に茶褐色の色素があるため、淡い色合いに仕上げたい白身魚の煮物や、茶碗蒸し、お吸い物などに使うと出汁の色が濁ってしまいます。また、メレンゲや白いスポンジケーキ、ゼリーなどの洋菓子に使用すると生地が薄茶色に仕上がり、カラメルの風味が素材の香りを邪魔することがあるため避けるのが無難です。
【三温糖を上白糖で代用する場合】:
こちらも基本分量は同量で代用可能です。ただし、上白糖だけでは三温糖特有の重厚なコクが出にくいため、煮物であればみりんや酒の分量を小さじ1杯程度増やすか、ほんの少し醤油を立たせることで深みを補うプロの技が役立ちます。