劇場に足を運んだ観客が実際に何を感じ、どのような状況に直面しているのか。SNS上の投稿や観劇レビュー、独自取材による観客の証言を検証すると、カタログスペックだけでは分からない生々しい現場の実像が浮かび上がってきます。
2.5次元舞台を中心に年間50公演以上を観劇する20代女性は、1階席の体験について次のように証言しています。
「4列目のセンターを引いたときは『勝った』と思いましたが、開演してみると前列の方の体格によってセンター奥の芝居が完全に隠れてしまいました。逆に、別公演で座った10列目18番は、前の席との段差がしっかりあって演者の上半身から足さばきまで一直線にクリアに見通せました。近さよりも『段差の有無』がこれほど重要だと痛感した瞬間でした」
一方、最も論争を呼んでいる2階最前列に関しては、宝塚歌劇やミュージカル公演のファンから厳しい指摘が相次いでいます。
「着席指定の2階1列目は、背中を座席シートに密着させると、舞台手前で演者がひざまずくシーンや銀橋的な使われ方をするエプロン部分が手すりのバーにすっぽり隠れます。見たい一心で無意識に背中を浮かせて前のめりになりかけ、スタッフの方から静かに注意を受けてしまいました。劇場の安全対策であることは理解していますが、手すりの位置関係は知っておかないとショックが大きい仕様です」
手すりは観客の安全を守るための建築基準法に準拠した設備であり、劇場側も意図して視界を塞いでいるわけではありません。しかし、現場の利用者の間では「2階1列目よりも、むしろ段差によって手すりを眼下に見下ろせる2階3列目〜5列目の方が圧倒的に観劇環境が良い」という評価が定説となっています。