数ある名作の中でも、演芸界に革命をもたらした金字塔と言えば全10話からなる大長編『任侠流れの豚次伝』だろう。豚の豚次が動物たちの仁義なき戦いに巻き込まれながら成長していく異色の動物落語は、どのようにして生まれたのか。制作当時、従来の古典落語にはないスケール感を模索していた彼が着想を得たのは、映画やマンガ、そして現実社会の人間模様だったという。
また、初期の傑作として根強い人気を誇る『砂漠の狐』など、独自の奇想天外な世界観は高座にかかるたびに進化を遂げている。極限状態に置かれた人間の可笑しさと哀愁を描く手腕は実に見事だ。生き生きとした擬人化とドラマチックなストーリー展開は、聴く者の頭の中に鮮明な映像を浮かび上がらせる。