現在の高座で特に大きな反響を呼んでいるのが、自身の原点である角界の裏話やエピソードをふんだんに盛り込んだ「相撲落語」だ。伝統的な古典ネタはもちろんのこと、元力士だからこそ語れる力士たちの喜怒哀楽、稽古場のリアルな空気感、部屋の食事事情などを軽妙な語り口で描写する独創的な高座は、唯一無二の魅力を放っている。
取材の中で本人はこう明かす。「土俵も高座も、一歩上がれば誤魔化しが利かない真剣勝負の場。お客様の反応を肌で感じながら、その日その時だけの空間を作り上げることが一番の面白さです」。角界の伝統と演芸界の技が融合した高座は、笑いの中にどこか温かい人間ドラマが漂い、聴く者の心を揺さぶる。