長年にわたり、ミステリー・サスペンス愛好家や原作ファンを賑わせてきた「阿笠博士=黒幕説」。結論から述べれば、作中で彼が組織を率いる首魁であるという事実は存在しない。作中屈指の巨大な陰謀を操るボス「あの方」の正体として、半世紀前に謎の死を遂げたとされる大富豪・烏丸蓮耶の名が浮上して以降、物語の軸は明確にその系譜へとシフトしている。
しかし、それでもなお一部の考察ファンの間で都市伝説が根強く残り続けているのはなぜか。それは単なる都市伝説の枠を超え、読者側が作品の巧みな構造の中に「違和感」を見出してきた歴史があるからだ。烏丸蓮耶という絶対的な黒幕の影が濃くなった後も、「阿笠博士は組織の真の創設メンバーなのではないか」「あの方の影武者ではないか」といった多角的な推測が次々と生まれ、今なおネット上の議論を加熱させている。