なぜ雷で桑原と唱えるのか?くわばらくわばらの語源と道真怨霊の真相

なぜ雷で桑原と唱えるのか?くわばらくわばらの語源と道真怨霊の真相

なぜ雷で桑原と唱えるのか?くわばらくわばらの語源と道真怨霊の真相について押さえておきたい 理由を分かりやすい構成で解説いたします。

日本人の深層心理に刻み込まれている「くわばらくわばら」は、漢字で「桑原桑原」と表記します。国語辞典や民俗学の記録において、この言葉は「雷の直撃を避けるためのまじない」、さらには「好ましくない災難や災禍が身に及ばないよう願う呪句」として定義付けられています。

日本民俗学の祖である柳田国男は、大正9年(1920年)に発表した名著『赤子塚の話』のなかで、落雷の際に「くわばら」と唱える風習が特定の地方にとどまらず、北海道から九州に至るまで日本全国津々浦々で確認される普遍的な習俗であると報告しています。近代以前の日本において、雷は単なる気象現象ではなく、天翔ける怪物「雷獣」が暴れ狂う超自然的な天罰と信じられていました。猛威を振るう雷獣から命を守るため、人々は祈るような思いでこの短いフレーズを口にしてきたのです。

西洋文化圏に目を向けると、不吉な話を口にした直後に災厄を遠ざけるため木製品を指で叩く「knock on wood(木を叩け)」や、悪天候を退ける童歌「Rain, rain, go away」が存在します。「くわばらくわばら」は、まさにこれらに匹敵する日本固有の災厄忌避プロトコルといえます。しかし、西洋の「木」という一般的な対象に対して、なぜ日本ではピンポイントに「桑原」という固有名詞めいた言葉が選ばれたのでしょうか。その答えは、平安王朝を震撼させた血塗られた歴史に隠されていました。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。