トレーニング前に行うウォーミングアップの定番とされてきた「静的ストレッチ(スタティックストレッチ)」。座った状態で前屈したり、立ったままアキレス腱や太ももをじっくり30秒以上伸ばしたりする運動を指します。しかし、筋トレ前の静的ストレッチは逆効果になるケースが多いと指摘されています。
最大の要因は、筋トレ前におけるストレッチによる筋力低下のメカニズムにあります。筋肉を長時間強く伸ばし続けると、筋線維の張力(テンション)が緩むだけでなく、神経系の伝達スピードが一時的に抑制されます。筋肉は「ゴム」のように縮んで強い力を生み出しますが、引き伸ばされすぎたゴムは縮む力が弱くなってしまうのです。
国内外の運動生理学研究でも、筋トレ直前に静的ストレッチを過度に行った場合、最大挙上重量やジャンプ力などの瞬発的パワーが数%〜十数%低下するというデータが報告されています。重い重量を扱って筋肥大や筋力アップを狙うトレーニーにとって、トレーニング直前に筋出力を落としてしまう行為は大きなデメリットになります。