掌蹠膿疱症は単なる皮膚の炎症ではなく、全身の免疫システムのエラーによって引き起こされる自己炎症性疾患に近い病態を持っています。そのため、免疫系を絶え間なく刺激し続ける行為は、火に油を注ぐような結果を招きます。日本皮膚科学会の診療指針でも強く警鐘が鳴らされている、避けるべき代表的な行動は以下の5点です。
第一にタバコの継続です。掌蹠膿疱症患者の約80%以上に喫煙歴が認められており、タバコに含まれるニコチンは手足の末梢血管を収縮させるだけでなく、好中球(炎症を引き起こす白血球の一種)を過剰に活性化させます。国内外の臨床統計において、禁煙に成功した患者の半数以上で皮疹が劇的に軽快したという報告がある一方、喫煙を続けたまま外用薬だけで完治を目指すのは医学的に極めて困難とされています。
第二に皮をむく・膿疱を無理に潰す行為です。無菌性の膿(うみ)が溜まった水疱やかゆみのある厚い皮を見ると、つい爪や毛抜きで剥がしたくなりますが、これは「ケブネル現象」と呼ばれる外傷刺激による皮疹の誘発を招きます。さらに、バリア機能が崩壊した皮膚から黄色ブドウ球菌などの細菌が二次感染を起こし、蜂窩織炎(ほうかしきえん)を併発する危険性すらあります。
第三に虫歯や歯周病、慢性扁桃炎の放置です。掌蹠膿疱症は、体内のどこかにある慢性的な感染病巣(フォーカス)に対して免疫が過剰反応し、遠隔地である手足に無菌性の炎症を起こす「病巣疾患」の側面を持っています。喉の痛み(扁桃炎)を繰り返している場合や、根管治療が中途半端なまま放置された歯がある場合、それが持続的なアレルゲン供給源となり、皮膚炎が沈静化しません。
第四に自己判断による歯科金属パッチテスト前の無計画な金属除去です。歯科金属アレルギーも原因因子の一つですが、どの金属(ニッケル、コバルト、クロム、パラジウムなど)に感作しているかを皮膚科でのパッチテストで正確に特定しないまま、高額な自費診療で歯冠を削り取ると、切削粉塵を吸い込むことでかえって症状が爆発的に悪化する事例が報告されています。
第五にステロイド外用薬の自己判断による中断や不適切な塗り方です。「ステロイドは怖いから」と薄く延ばして塗ったり、少し良くなった瞬間に塗布を急停止したりすると、炎症のくすぶりから激しいリバウンド現象(再燃)を招きます。患部が角化して硬くなった手足には、ベリーストロング〜ストロンゲストクラスの外用薬を、擦り込まずに「指の腹に乗せてそっと置く」ように十分な量を塗るプロアクティブ療法が基本です。