毎年、膨大な数の新語や俗語が生まれては消えていく。そのなかで、辞書に収められる言葉と振り落とされる言葉の差はどこにあるのか。編纂現場の取材から見えてきたのは、厳格な「3つの採録基準」だ。
第一に「使用期間の継続性」。発生から最低でも数年間、定着して使われ続けているかが問われる。第二に「意味の広がりと変化」。単なる特定のコミュニティ内の隠語ではなく、社会全般の文脈で機能しているか。第三に「語釈の記述可能性」である。一時的な感情の吐露ではなく、概念として辞書学的に説明が成り立つかが精査される。このフィルターを通過した言葉だけが、歴史に刻まれる権利を得るのだ。