新大阪道具市場で扱われる出品物は、いわゆる「道具市」の名にふさわしく極めて多岐にわたります。骨董品やブランドバッグ専門の市場とは異なり、日用生活に直結する動産全般が競りに掛けられます。
中心となる出品物は、単身・ファミリー向け冷蔵庫や洗濯機といった白物家電、液晶テレビ、オフィス家具(デスク・チェア・キャビネット)、電動工具、厨房機器、未開封の生活雑貨などです。遺品整理業者や解体業者、引越業者の引き取り品がそのまま出品されることも多く、思わぬ掘り出し物がトラック荷台ごと出品されるケースも珍しくありません。
現場における落札相場は、一般的なフリマアプリ・ネットオークション販売相場の20%〜40%程度で推移しています。例えば、ネット上で2万円で販売可能なドラム式洗濯機が5,000円〜7,000円前後で競り落とされるようなダイナミックな価格差が存在します。
ただし、現場では独特の「符丁(ふちょう)」と呼ばれる隠語や省略された金額単位が飛び交います。「セン(1,000円)」「リャン(2,000円)」「チョウ(10,000円)」といった伝統的な言い回しや、競り人(振り手)がリズミカルに発声する声を聞き取り、コンマ数秒で指を立てて発注を入れなければなりません。迷っている隙に別のベテラン古物商が落札していくため、予見力と相場観の瞬発力が試される戦場です。