インターネット黎明期の掲示板文化が生み出した最大のミステリーの一つが、この「愛の妖精ぷりんてぃん」の正体です。ドメイン「takamagahara.com(高天原)」上に突如として構築されたそのウェブサイトは、一見すると女児向けファンシーキャラクターの公式ページのような体裁を保っていました。しかし、一歩足を踏み入れると、無機質に反復される奇妙なアニメーションと極彩色のアートワークが来訪者を迎える構造になっていたのです。
公式設定資料やキャラクター紹介によると、ぷりんてぃんの元ネタおよび誕生の背景は「人々の心(ハート)と心(ハート)が触れ合って生まれた、幸せを運ぶ愛の妖精」と定義されています。頭部と胴体がそれぞれピンク色のハートマークで構成され、2つのハートが重なり合ったシルエットに手足と尻尾が生えているという、極めてシンプルかつ童話的なデザインです。活動の舞台は「ファンタジアランド」と呼ばれる独自の世界観に設定されていました。
しかし、ネット上で「カルト宗教の洗脳拠点ではないか」「見ると精神に異常をきたす呪いのサイトではないか」という噂の真相が急速に膨れ上がった最大の要因は、キャラクターの背後に潜む生々しい作者の存在でした。創作を手掛けたのは未女子日女(みめこひめ)と名乗る女性アーティスト。当時の個人ウェブサイトとしては異例なほど、自身の素顔写真や肉声メッセージを前面に押し出したページ構成を採用しており、その純粋無垢な児童文学的テーマと、生身の人間の執念にも似たスピリチュアルな熱量が衝突した結果、多くの閲覧者に強烈な違和感を植え付けたのです。