家庭で最もハードルが高いとされるのが「かき揚げ」です。鍋に入れた途端に具材がバラバラに散らばったり、中心部が生焼けになったりといったトラブルが頻発します。しかし、これも物理的なまとめ方を導入すれば簡単に解消できます。
第一のかき揚げが崩れないコツは、「衣液を後から少量だけ回しかける」という手法です。具材(玉ねぎ、人参、三つ葉、小エビなど)を細かく切り揃えて水気を拭き取ったら、まずボウルの中で全体に薄力粉をまぶして具材同士を粉でコーティングします。そこに、先ほど調合した衣液をスプーンで具材が軽く湿る程度(大さじ2〜3杯程度)だけ加え、全体を軽く絡めます。「具材同士が接着剤でかろうじて繋がっている状態」にするのが秘訣であり、決してボウルにたっぷりの衣液を用意してそこに具材を沈めてはいけません。
油に投入する際は、木べらや穴あきお玉の上に1回分の具材を平らに薄く広げて乗せ、静かに油の表面へ滑り込ませます。投入後1分間は絶対に箸で触れてはいけません。周囲の衣が固まり、表面にプツプツと細かい気泡が立ち上ってきた段階で裏返します。また、中央に菜箸で小さな穴を1箇所開けておくと、熱の通り道ができて芯まで均一に揚がり、生焼けを防ぐことができます。
揚げ鍋に投入する際、天ぷら油の適正温度を見極める指標として、油に衣液を1滴落とすテストが有効です。
- 160℃(野菜類・じっくり火を通す芋類):底まで沈んでから、ワンテンポ遅れてゆっくり浮き上がってくる状態。
- 170℃〜180℃(魚介類・かき揚げ):鍋の深さの中間まで沈み、すぐに勢いよく浮き上がってくる状態。
- 190℃以上(揚げ過ぎ・危険):油の表面でパチパチと飛び散り、全く沈まない状態(油温が高すぎるため火を弱める)。
具材を入れた瞬間は確実に油温が10℃〜15℃下がります。そのため、コンロの火力を一瞬だけ強めにして温度の底割れを防ぎ、適正温度を維持する微調整が、衣をサクサクに揚げるコツの核心です。