日本のプロ野球が長年抱えてきた最大の弱点、それは「試合のない日」の稼働率だった。ドーム球場であってもコンサートなどのイベントがなければ、巨大な空間は空っぽのまま放置される。しかし、従来の構造を根底から覆した複合型スタジアムの登場により、その常識は過去のものとなった。
球場内にホテルを作り、部屋のベランダから試合を観戦できる特別体験。グラウンドを一望できる醸造所で仕込まれたクラフトビールを手に語らう夜。観客席のすぐ裏手に広がる本格的なキッズエリアや高級ショップ群。これらはすべて、従来の野球ファン層以外を呼び込む強力な磁力となっている。野球にまったく興味がなかった層が「休日を過ごす場所」としてここを選び、気づけば球団のファンになって帰っていく。この逆流現象こそが、新時代の仕掛け人たちが狙った最大の果実だ。