市が掲げる殺処分ゼロプロジェクトは、着実な成果を上げつつも新たな壁にぶつかっている。環境省が毎年発表する動物愛護管理行政の統計データによれば、全国的に返還・譲渡率は向上している。しかし、重度の攻撃性を持つ個体や回復の見込みがない重篤な疾患を抱えた動物の扱いについては、行政現場でも苦渋の決断を迫られる場面が少なくない。
公衆衛生の観点から厚生労働省が定めるガイドラインを遵守しつつ、どこまで個別の医療介入を行うべきか。現場の獣医師や職員は、限られた予算と人手の中で日々葛藤を続けている。単に殺処分という数値をゼロにするだけでなく、収容されている間の生活の質(QOL)をいかに保つかが、現在の真の課題となっている。