皮膚科の診察室では、患者が良かれと思って行ったセルフケアが裏目に出て、病状をこじらせてしまう事例が後を絶ちません。SNSや医療Q&Aコミュニティ(Yahoo!知恵袋など)に寄せられる膨大な相談を分析すると、共通する「3大失敗パターン」が浮き彫りになります。
第1の失敗は、「手のひらの水疱・水ぶくれを針やつめで潰してしまう行為」です。汗疱や初期の掌蹠膿疱症で生じる小水疱は、皮膚の深い層(表皮内)に形成されます。これを無理に破ると、黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入して二次感染(蜂窩織炎や化膿性皮膚炎)を引き起こし、患部が腫れ上がって激痛を伴う事態に発展します。
第2の深刻な過ちは、「手白癬(手の水虫)に市販のステロイド軟膏を塗布してしまうミス」です。白癬菌(カビの一種)は、ステロイドの免疫抑制作用によって爆発的に増殖します。「かゆみ止めとして家にあったステロイドを塗ったら、翌週には手のひら全体に菌が広がり真っ赤にただれた」という臨床例は枚挙にいとまがありません。特に「症状が片手だけに出ている」「足の爪が白く濁っている」という兆候がある場合は、真菌検査を受けるまで絶対にステロイドを使用してはなりません。
第3に、「むけかけた薄皮を指で無理に引っ張って剥がす行為」です。まだ下層で角化が完了していない未熟な皮膚まで一緒に引き裂かれ、真皮が露出して出血や痛烈なヒリつきを招きます。浮いた皮は決して引きちぎらず、眉用などの清潔な小ハサミで浮遊部分だけを根本から丁寧にカットするのが鉄則です。