大相撲にはかつて存在した「公傷制度(本場所中の怪我による休場を保護する制度)」が2003年末に廃止されて以降、休場を続ければどれほどの実力者であっても機械的に番付が転落していきます。朝乃山自身、過去の出場停止処分によって三段目まで降下した経験を持ちますが、今回の番付転落は純粋な身体的負傷による長期休養が要因です。
幕内上位・三役クラスから幕下以下へと大幅に番付を下げてから再起を果たした前例をデータで比較検証すると、靭帯損傷という重傷を克服した力士たちの共通点と過酷な現実が浮き彫りになります。
過去のデータが実証しているのは、「現代医学における前十字靭帯の再建技術と適切な筋肥大リハビリを完遂できれば、幕内復帰の可能性は極めて高い」という明確な事実です。一方で、焦りから中途半端な仕上がりで早期土俵復帰を選んだ力士は、再受傷によって完全な引退を余儀なくされる傾向が顕著です。朝乃山にとって最大の武器は、かつてゼロから這い上がった強靭な精神的耐性と言えます。