本番組が単なるバラエティの枠を超え、珠玉のヒューマンドキュメンタリーと称される所以は、数々の「神回」と呼ばれる放送回にあります。台本のあるドラマでは到底描けない、生身の人間の光と影が偶然の扉の向こうに広がっていました。
特に視聴者の記憶に深く刻まれているのが、「大切な人を亡くした過去」を静かに告白する回です。かつて深夜の下北沢で取材を受けた若い男性は、部屋に飾られた遺影を前に、同棲していた恋人が交通事故で突然この世を去った事実を語り始めました。彼が取り出した手紙や思い出の品、そして「今でも彼女の部屋のまま時が止まっている」と語る姿は、SNS上で凄まじい反響を呼び、放送後も何年にもわたって語り継がれる伝説回となりました。
気になるのは、そうした話題の出演者たちの「その後と現在」です。テレビ東京では過去の特番において、記憶に残る出演者を再訪する追跡企画を度外れた頻度で実施しています。前述の男性のもとを数年後に再びディレクターが訪れた際、彼は深い喪失感を抱えながらも新しい仕事に打ち込み、少しずつ止まっていた時計の針を動かし始めている姿を見せてくれました。視聴者からは「前を向いて歩き出している姿に勇気をもらった」「生きていく強さを教えられた」と温かいエールが寄せられました。
また、イジメや家族の葛藤を乗り越えようとしていた若者、元プロボクサーの過酷な第二の人生、さらにはゴミ屋敷の中で昭和の記憶を抱えて生きていた高齢者など、歴代の神回に登場した人々は、放送という特異な体験を経た後も、それぞれの現実と向き合いながら日々を営んでいます。出演後に過度な有名人化を望まず、静かな日常を取り戻す人が大半である点も、この番組が個人の尊厳を一定の配慮をもって扱っている証拠と言えます。