医学の世界において、「シミがポロッと取れる」という現象が100%嘘かというと、実はそうではありません。ただしそれは、「特定の疾患に対して、医師が医療機器や薬品を用いた治療を行った結果」に限られます。市販のクリームを塗って起きる現象では断じてありません。
皮膚科学的に、物理的な剥落が起きる代表的なケースは以下の2つです。
1つ目は、脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう/老人性イボ)に対する液体窒素治療(冷凍凝固療法)です。良性の腫瘍であるこのイボ状の盛り上がったシミに対し、マイナス196度の液体窒素を綿球やスプレーで押し当てて組織を凍結壊死させます。処置から1〜2週間ほど経つと、かさぶた状に黒く変色した組織が文字通り「ポロッ」と自然に剥がれ落ちます。この治療は健康保険が適用される一般的な皮膚科治療です。
2つ目は、平らな茶色いシミである老人性色素斑に対するQスイッチレーザーやピコレーザーの照射です。メラニン色素に選択的に反応する高出力レーザーを照射すると、破壊されたメラニンを含む角質が薄いかさぶたとなり、照射後7〜10日程度で洗顔などの拍子に自然に剥離します。
重大な警告として知っておくべきは、「平らなシミに酸の強い薬品を塗る」「爪で無理やりカリカリと引っ掻いて剥がそうとする」といった自己流の民間療法は極めて危険だという点です。皮膚の基底層を破壊し、元よりも濃く広範囲に広がる「炎症後色素沈着(PIH)」や、クレーター状の瘢痕(傷跡)を一生残す原因になります。