欧州からの締め出しが長期化する中、ロシアサッカー界で現実的な選択肢として浮上したのが「UEFAを脱退し、アジアサッカー連盟(AFC)へ転籍する」というシナリオでした。かつてオーストラリアがオセアニアからAFCへ移籍した前例にならい、アジア予選を通じてワールドカップ復帰を目指す狙いがありました。
一時はRFU内部でも執行委員会で採決にかける直前まで話が進んだものの、最終的にこのAFC転籍案は事実上の凍結状態に陥りました。その背景には、極めてシビアな3つの現実が存在します。
第一に、放映権料や賞金規模における「圧倒的な経済的格差」です。UEFAチャンピオンズリーグが生み出す巨額マネーと比較すると、アジアの大会で得られる収益は極めて小さく、ロシアの有力クラブ経営者たちが難色を示しました。第二に、日本や韓国、オーストラリアをはじめとするAFC加盟国の多くがウクライナ侵攻に対して厳しい姿勢をとっており、AFC総会で加盟承認に必要な過半数を得られる確証がありませんでした。そして第三に、FIFAの制裁が解除されない限り、たとえAFCに移籍してもW杯予選には出場できないという根本的な壁があったためです。