組織心理学および財務マネジメントの観点から分析すると、決算賞与は「諸刃の剣」となり得ます。人間には一度得た報酬水準を基準として認識する「参照点依存性」があり、一度決算賞与を支給すると、翌期に業績不振で不支給となった際に強い心理的リアクタンス(反発)やモチベーション低下を引き起こす傾向があります。
決算賞与の導入を積極的に検討すべき企業と、慎重に見送るべき企業の判断基準は以下の通りです。
【決算賞与を有効活用できる企業の条件】
- 経常利益の一定割合(例:利益の〇%)を還元するなど、就業規則や賃金規程に客観的な支給基準が明文化されている。
- 納税資金および翌期の運転資金(最低でも月商の3か月分以上)の現預金が確保されている。
- 普段から業績の推移がオープンに共有されており、従業員が「なぜ支給されたのか/されなかったのか」を納得できる組織文化がある。
【導入・支給に慎重になるべき企業の条件】
- 一時的な特需(一過性の大型案件など)で利益が出ているだけで、翌期のキャッシュフロー予測が不透明な場合。
- 経営者の主観や感情で支給額を決定しており、従業員ごとの評価理由に客観性がない場合。
- 役員給与の調整弁として使おうとしている場合(※原則として役員に対する決算賞与の損金算入は事前確定届出給与の手続きがない限り不可)。